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Odooを自社に導入しました

インボイス・電帳法の対応と「できなかったこと」


当社では、自社の業務システムとしてOdooを導入しました。この記事では、海外製のOdooが日本の制度にどこまで対応できるのかを、実際に検証した結果をもとにご紹介します。うまくいったことだけでなく、「できなかったこと」も書いています。

現在、Odooで運用しているのは次の業務です。

  • 在庫:入出庫管理など
  • 販売:請求書の発行、入金の消込など
  • 購買:仕入請求書の登録、支払など
  • 会計:決算など

自己紹介

私は前職で、ERPコンサルタントとして、建設業やサービス業の企業向けに業務システムの導入を担当していました。今回はその経験を生かし、自社で使う立場からOdooを検証しました。

きっかけ

自社の業務を効率化したいと考え、まずは名前を知っている会計ソフトを中心に比較していました。その過程でAIにも相談したところ、安価な業務システムとして紹介されたのがOdooでした

さっそく調べてみると、SAPやOracleのようなメジャーな製品と比べて非常に安価でありながら、機能もひと通りそろっているように見えました。無料版もあったので、自社で使うというより勉強のつもりでインストールしてみたところ、私が以前お客様に導入してきたシステムよりもはるかに使いやすかったのです。

もちろん、SAPやOracleは大企業の業務に対応するためのシステムなので、複雑で操作が難しいのは当然です。ただ、そこまでの複雑さや内部統制が求められない企業では、作業の負担を含めたコストに見合う効果が得られないこともあります。

すっかり操作感が気に入った私は、本気で導入を検討し始めました。

導入に向けての機能検証

いくら操作感が良くても、肝心なのは機能です。Odooは海外製品なので、特に日本固有の制度に対応できるかを慎重に確かめる必要がありました。まずはOdooに慣れるため、基本的な業務がひと通りできるかを試しました。

販売業務

単純な請求書の発行だけでなく、前受金や返金の処理、入金の過不足、さまざまな支払方法への対応まで確認しました。

購買業務

仕入請求書の登録から、全銀ファイルを使った支払いまで、販売業務と同じく実務で使えるかを確認しました。

在庫業務

入出庫の管理や、販売及び購買機能との連携を確認しました。

日本の制度への対応

基本的な業務に問題がないことを確認できたので、次はいよいよ日本の制度への対応です。

①インボイス制度

適格請求書・適格返還請求書への登録番号の表示や、税率ごとの消費税額の計算は問題なくできます。

適格請求書を修正した場合、修正前の請求書も保存しておく必要があります。この要件には、請求書を削除できないようにする設定で対応しました。人はミスをしますが、削除ボタンがなければ、うっかり消すこともありません。

購買側でも、免税事業者からの仕入では経過措置に応じた控除率が自動で設定されるため、手作業を増やさずに運用できています。2026年10月の控除率の改正にも対応済みです。

その他の細かい要件についても国税庁のインボイス制度の手引きに照らし合わせて確認しました。


②電子帳簿保存法

メールやWebで受け取った請求書などの電子取引データの保存に対応しています。

電子取引データの保存に求められる「真実性の確保」については、訂正・削除の履歴が残る仕組みになっています。ただし、念のため改ざん防止のための事務処理規程も定めておくことをおすすめします。「可視性の確保」については、日付・金額・取引先で検索でき、画面表示や印刷も可能です。

③源泉徴収(士業への報酬)

弁護士や税理士などの士業に報酬を支払う際は、所得税および復興特別所得税の源泉徴収が必要です。Odooでは、100万円以下の部分に10.21%、100万円を超える部分に20.42%の税率を適用できます。

④固定資産

日本の減価償却の計算方法には対応していません。ただ、毎月の償却額を手動で設定できるため、決算書を作るための減価償却処理には問題なく使用できます。

⑤財務諸表

貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書は、標準で用意されているもので対応できます。必要に応じてカスタマイズも可能です。

できなかったこと

ここからは、Odooではできなかったことです。導入を検討する際の判断材料にしてください。

①給与管理

社会保険料率や源泉所得税の改定に自動で対応してくれないため、そうした機能が必要な場合は、別の給与計算システムとの併用をおすすめします。

②電子帳簿保存法(紙の書類の保存)

電子取引データの保存には対応していますが、Odooは「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」を取得していません。そのため、紙で受け取った書類をスキャンして保存する場合は、要件を満たしていることを自社で説明する必要が出てくるかもしれません。

紙の書類の電子保存には、認証を取得したツールの使用をおすすめします。紙の書類との戦いは、まだ続きそうです。

おわりに

この記事で扱った検証の結果をまとめると、次のとおりです。

項目

結果

販売・購買の基本業務

対応

インボイス制度

対応(2026年10月の控除率改正にも対応)

電子帳簿保存法(電子取引)

対応(事務処理規程の併用を推奨)

源泉徴収(士業への報酬)

対応

固定資産

一部対応(償却額は手動で設定)

財務諸表

対応

給与管理

非対応(別システムとの併用を推奨)

電子帳簿保存法(紙の書類)

非対応(認証取得済みのツールを推奨)

こうした検証を経て、当社はOdooを導入しました。業務システムを検討されている方の参考になれば幸いです。

Odooが選択肢に入るようでしたら、私が自社で検証した設定のままご覧いただけるデモ環境をご用意しています。お気軽にお問い合わせください。